友達につれられて久しぶりに夜の町へ。

場末のスナックで飲んでいたのだが、たまたまアルバイトで来てた30前半であろう女性と話し込む。

髪を後ろで結ったその丸顔の女性(R子さん)とは妙に馬があって、いろんな話しをした。

お酒も入って彼女は赤裸々に昔のことを語り出した。

何でも昔付き合っていた彼氏がとんでもない奴で方々に借金をつくり、その穴埋めを彼女がしていたという。

今は愛想がつきて別れたが男を見る目がなかった以前の自分が情けなくて今でもその過去に引きずられているという。

僕はウイスキーを一口飲んで彼女に言った。

「過去なんて、どこにも無いんだよ。過ぎ去ってしまったものは、もう存在しないんだ。あるとしたら脳みその記憶の中だけかな。記憶なら書き換え可能だよ。メモリーのデータの書き換えと同じ。」

とハードボイルドよろしく、決めたまでは覚えているが酔いがまわって後のことはよく覚えていない。

R子さんは分かってくれただろうか。

ああ、二日酔いはきつい。